ハイレッドセンター《山手線事件》はどんな事件で何の目的があった?イベントやハプニングについても解説!

本記事では、1960年代の日本の芸術家集団の1つハイレッドセンターが結成前年行った《山手線事件》(1962年)を探ります。
(山手線フェスティバルとも言います。)

 

どんな事件で何の目的があったのでしょうか。

 

また、パフォーマンスを行う作品に対し現代美術では

『イベント』『ハプニング』といった用語が使われます。

この違いについても解説します。

 

 

 

 ハイレッドセンター

ハイレッドセンターとは?

ハイレッドセンター高松次郎(1936-98)、赤瀬川源平(1937-2014)、中西夏之(1935-2016)の3人が1963年に結成した芸術家集団です。

 

高松→"high",赤瀬川→"red",中西→”center”

という苗字の漢字を英語にして合わせたものが

名前の由来です。

3人の共同に加え、他の作家も活動によって参加していました。

 

活動は帝国ホテルで行った《シェルター計画》(1964年)

銀座で路上清掃を行った《首都圏清掃整理促進運動》(1964年)

といった日常空間における活動がされました。

 

 この《首都圏清掃整理促進運動》を最後に

活動は最後となったので、

ハイレッドセンター活動期間は2年にも

満たないものです。

 

なぜ美術史の中で語り継がれるのでしょう。

なぜ語り継がれている?

ハイレッドセンターが語り継がれる理由は

「共同性」です。

 

絵や彫刻といった昔からある

芸術の枠組みに対して

1950年代末ごろに日本でも新聞や木材のような

日用品にあるアートを通じ、

日常とアートを近づけようとする動きが生まれていきました。

 

ハイレッドセンターの活動は

芸術家たちが共同したというだけでなく、

公共のものに参加することで「日常とアートの共同」

へ挑戦したということです。

作品は個人の活動として作られるものではなく、

集団や日常との共同で生まれるものと捉えたと言えます。

 

山手線事件とは?目的は?

 

ハイレッドセンターが結成される一年前

実験的な活動として《山手線事件》(1962年)が行われました。

《山手線フェスティバル》という名前で呼ばれることもあります。

 

高松次郎中西夏之、川仁宏(1933~2003)によって行われました。

 

こちらの動画の1:20~紹介されています。 

中西は、ガラクタをアクリル樹脂の中に放り込み固めた

30㎝ほどの長さのオブジェを持ち、品川から山手線に乗り、

オブジェを懐中電灯で照らしていました。

その後、上野駅のホームで降り、地面に置いたオブジェを舌で舐めるパフォーマンスをしました。 

 

高松次郎はスーツケースから紐を取り出し、駅のホームの柱へと巻き付けていたそうです。

 

もし現在、電車内やホームでこういう人を見れば通報する人もいるかもしれません。

 

 

この事件の目的は「芸術と観客の関係性を攪拌する」でした。

 

 この事件の後、参加してはいなかった赤瀬川源平も含め振り返りをしたそうです。

 後のハイレッドセンターの活動への参考になっていったわけですね。

 

しかし、この事件は事前に告知され、

カメラマンや美術家などが観客として見に来ていたそうなので、

目的の達成に疑問があると考えれます。

 

 

この事件については後に小説家にもなった赤瀬川源平さんの著で詳しく話があります。

美術用語「パフォーマンス」「イベント」「ハプニング」

この活動は事件、フェスティバルと

付けられていますが、

美術では何と分類されるものなのでしょうか。

 

これは「ハプニング」と分類されるものであると考えられます。

似たものに「イヴェント」「パフォーマンス」

という言葉もあるため、

それぞれ解説していこうと思います。

 

「ハプニング」

ハプニングとは生活に芸術を持ち込むものです。

 

一回性が重要視されることの多い特徴があります。

 

海外ではアラン・カプロー(1927~2006)が

先駆けとなりました。

 

例えば、カプローは参加者と協力して

氷のブロックを積み上げ、美術館でない場所で

巨大な氷のオブジェを作る行為をしています。

(《流体》(1967))

 

ハプニングは芸術を生活に持ち込ませる、

日常に芸術を持ち込むものと言えます。

この点で《山手線事件》は

ハプニングと言えますね。

 

「イヴェント」

日常行為を芸術作品とするものです。

 

反復可能な特徴を持つものが多いです。

日常行為をアートギャラリーなど展示場で行うということですね。

 

海外ではフルクサスと言われるアーティスト集団や

ヨーゼフ・ボイス(1921~1986)が先駆けとなりました。

 

例えば、ヨーゼフ・ボイスの作品では

アメリカのアートギャラリーで

イヌ科の哺乳類であるヨコーテと

一週間過ごしたものがあります。

(《私はアメリカが好き、アメリカも私が好き》1974年)

 

これは日常の行為を芸術と捉えて

作品にするということであり、

日常に芸術を持ち込むハプニングとは

異なります。

 

bigakuchikamichi.hatenablog.com

「パフォーマンス」

パフォーマンスは

「時間」「場所」「パフォーマーの身体」

パフォーマーと観客との関係」

の要素で成り立つものです。

ハプニングやイヴェントもパフォーマンスの

1つと言えます。

 

ハプニングやイヴェントと共に

作られた概念ですが、

ある作品がどう分類されるかに関しては、

作品により議論にもなります。

 

まとめ

ハイレッドセンターやその前史である《山手線事件》を解説し、

芸術用語である、イベントやハプニングについても見ていきました。

 

《山手線事件》は日常に芸術を持ち込み攪乱したハプニングということですね!

 

街中での芸術活動は

現在あまり見ることはないかもしれません。

 

路上パフォーマンスの方はいますが、

山手線のホームや電車内で芸術活動を行う

というのは見えないでしょう。

 

私は街の中で人目を忍んで

踊った所を写真に収めたこともありますが、

そうした話を年長の方にすると

1990年代ごろまではよく見られるもので

あったと聞きました。

 

私も1995年生まれでこうしたことを

知らない身であり、

詳しい方にもっと話を聞いてみたいです。