白髪一雄の《泥に挑む》を解説!パフォーマンスではなく絵画作品!スターバックス社長も評価!?
1955年、戦後の美術グループである「具体美術協会」の第一回展にて
画家、白髪一雄(1924-2008)は《泥に挑む》という作品を発表しました。
その名の通り、泥を用意し、それに飛び込むという作品です。
これはどんな意味があるのでしょうか、、?
これはパフォーマンスの先駆的な作品なのでしょうか。
世界的にも評価される画家としての
白髪一雄さんについても見ていきたいと思います。
足で絵を描き続けた白髪一雄さん
白髪一雄は戦後の抽象画家です。
実は足で作品を描いています。
天井からつるしたロープにぶら下がり、足で絵の具を広げているのが分かります。(0:50~)
白髪一雄は1952年「0会」という若手作家グループの結成者の一人です。
美術仲間たちと制作や議論、展覧会の開催を行いました。
1954年にフットペインティングを始め、70歳になっても足で描き続けたそうです。
泥に挑んだ。
白髪一雄は「具体」の第一回展にて《泥に挑む》という作品を発表します。
0会は1955年に吉原治良の組織する「具体芸術協会」へ移り、活動はなくなりました。白髪一雄さんは新たに「具体」の中で、活動を続けていきます。
泥に髪を借り上げた裸の男性が飛び込んでいます。(以下の動画0:40~)
泥は工事業者と協力し、会場の入り口付近へ投げ込み、広げていったそうです。
その日は雨も降っていたとか、、
白髪一雄の追究したものは何なのか。なぜ泥だったのか。
白髪一雄が作品制作で追究したものは「素材と身体」の関係です。
例えば絵画では、素材のキャンバスに対し、身体である手で筆を動かすことで作品が作られます。
つまり、素材に対して手で向かい合う従来の作品の作られ方に対し、
体全体で向かい合ったことが白髪一雄さんの表現ということです。
《泥に挑む》はパフォーマンスを見せているように見えつつ
実は全身で泥を広げて絵を描くという絵画作品と考えることができます。
身体と素材の関係への追究の一つです。
全身で描くためには自分の体の動きによって形が変容していく
大量の泥を選んだではないかと憶測できます。
例えば水や油のような液体物に挑んだとしたら、形あるものにならず
絵画作品とは言えないでしょう。
世界的に評価されている?
スターバックス社長のハワード・シュルツさんが、自身のオフィスルームに白髪一雄さんの絵を飾っています。
国外からも人気の画家であり、死後も展示会が開かれ続けています。
まとめ。現在の身体と素材の関係を追究する人。
白髪一雄の初期の作品である《泥に挑む》について見てきました。
これはパフォーマンスを行っていることが注目点ですが、
実際には画家としての白髪一雄が、空間に対して体全体で挑むことで絵を描いたという絵画作品です。
白髪一雄の画家のバックグラウンドがあってのパフォーマンスということですね。
そして、泥に飛び込むことや足で描くことの意味は、出来上がる作品と制作者がどう関わるかという従来の絵画への挑戦と言えます。
足だからこそできる、力強さ、線や色の広がりの面白さ、作品と製作者の関係
製作者のアイデンティティを作品の作り方に用いる
さまざまな捉え方ができます。
また、現在の若手アーティストにも体で絵を描いている画家さんがいます。
絵画以外に、音楽でもどう身体を使って
奏でるか追究する人もいます。