【美術解説】民芸運動(民藝)とは?簡単に解説!柳宗悦の『用の美』や収集作品、アーツ・アンド・クラフツ運動との関係について!

現在も使われることの多い「民芸(民藝)」という言葉。

 

「民芸」は「民衆的工芸」の略で、1920年代ごろから日本で注目されるようになりました。

 

民芸運動柳宗悦(やなぎむねよし、やなぎそうえつ)(1889-1961)による運動です。

実は前回記事で紹介した、イギリスのアーツ・アンド・クラフト運動からも影響を受けています。 

bigakuchikamichi.hatenablog.com

 

本記事では、柳の行った民芸運動、柳の見出した概念「用の美」、収集した作品、アーツ・アンド・クラフツ運動との関係性を探ります。

民芸運動とは?

 

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(https://s.japanese.joins.com/JArticle/172433?sectcode=420&servcode=400)


民芸運動1920年代ごろより、日本で起こった「日常の暮らしに宿る美しさを追究」する運動です。

 

思想家・美学者である柳宗悦を中心に展開されました。

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柳宗悦(むねよし、ともそうえつとも読む)(https://mingeikan.or.jp/about/soetsu/?lang=

 

柳の主な活動は

  • 1931年、京都で工房「上賀茂民芸教団」を設立し、共同作業場を作る
  • 1931年には雑誌『工藝』を発刊
  • 各地で民芸品の調査・収集や展覧会を行う
  • 1934年「日本民芸協会」の発足
  • 1936年日本民藝館駒場(東京)に設立し、民芸品の収集・展示

となります。

 

名高い職人の作った精巧な作品や、新しい機械や技術で作られた作品ではなく、名もなき職人の日用品として作った作品に美があると訴え、運動を起こしました。

 

柳宗悦の「用の美」

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柳は『用の美』という概念を主張しています。

 

柳は、真の美は日用性から自然と生じると考えました。

 

コップで例えると、コップにおしゃれな絵や飾りつけを行うことで美が表れるのではなく、コップに持ちやすくすること、持ちやすい取っ手をつけてみることから美が表れるということです。

 

柳は「用美相即」(ようびそうそく)あるいは、「用を離れて美はない」という言葉も残しました。

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白薩摩土瓶(江戸時代〔日本〕19世紀) (https://mingeikan.or.jp/collection/japan1_25/?lang=ja )

 

柳は、利便性が求められる工業化で、工芸品の品質が低下すると危ぶみます。

 

名もいない職人の工芸に価値を捉え、日本の民衆の芸術を重んじていました

 

柳の美学理論がまとまった作品として『工藝の道』(1928年)、『民芸とは何か』(1941年)があります。

 

柳の収集作品は?日本民藝館へ!

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日本民藝館https://mingeikan.or.jp/floormap/honkan/?lang=ja )

 

柳が1936年に設立した日本民藝館は現在も東京の駒場に残されています。

 

日本民藝館に展示される作品のほとんどが柳宗悦の作品です。

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自然釉甕( https://mingeikan.or.jp/collection/japan1_21/?lang=ja )

 

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奉納面( https://mingeikan.or.jp/collection/japan3_13/?lang=ja )

 

アーツ・アンド・クラフツ運動との関係

柳はウィリアム・モリス(1834~1896)がイギリスで行った「アーツ・アンド・クラフツ運動」へ共感しています。

 

アーツ・アンド・クラフツ運動は工業化・分業化に反対し、手工業へ回帰することで、生活・労働の喜びを取り戻すという運動です。

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柳はモリスの民衆の芸術を重んじる考えに共感しました。

 

しかし美意識の違いは批判しています。

 

柳はモリスの工芸を「人間中心的」と捉えました。

 

  • モリス→職人が手工業で自由に行ったデザインが美しい
  • →名もない職人の利便性を求めた、作為性ないデザインが美しい

 

柳は利便性から美が生まれると考えており、職人が自由な作為を施すことに反対したということですね。

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白地蔦枝垂梅文様着物(https://mingeikan.or.jp/collection/japan2_12/?lang=ja )

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モリスの『いちご泥棒』(https://www.fiq-online.com/newsDetail.php?id=isTAX0Ha7rdNYsrE8W6SP02T )

 

しかし、実際の作品を見てみると、どちらも拘りもって書いているように見えますが…

 

ちなみに、柳は時折日本を訪れていたイギリス人陶芸家バーナード・リーチ(1887~1979)と仲を深め、ともに民芸運動を行っていました。

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バーナード・リーチhttps://camp-fire.jp/projects/49980/activities/40200

 

バーナード・リーチとの活動は、柳がアーツ・アンド・クラフツ運動に影響を受けたきっかけの一つでもあるようですね。

 

まとめ

本記事では、『【美術解説】民芸運動(民藝)とは?簡単に解説!柳宗悦の『用の美』や収集作品、アーツ・アンド・クラフツ運動について!』と題し、

 

民芸運動柳宗悦の活動、思想を追いました。

 

  • 民芸運動は日常の暮らしに宿る美しさを追究した
  • 1920年代ごろから柳宗悦を中心に行われた
  • 柳宗悦は作為性ではなく、利便性が美を生み出すと考えた
  • アーツ・アンド・クラフツ運動から影響を受けているが、職人の自由に表現する作為性は批判

 

現在も使われている民芸という言葉ですが、もともとは工業化することに対して重要視されていった言葉であるようですね。

 

手の込んだ芸術品ではなく、名もない製品に美を見出してみること。

 

自分の家に既にあるものに、デザイン性を持って眺めてみると、新たな発見があるかもしれませんね。

 

柳宗悦の活動は、民芸のみならず、韓国や台湾などに対しての活動もあります。

これについては次回記事にて記したいと思います。